8月某日
なぜか山本文緒『恋愛中毒』なる小説を読んでいる(ほんとになぜなんだろう?)。毎日10ページずつくらいだからあまり進んでいないが、とにかくひどい小説だ。
著者は直木賞作家。だからこの小説もエンターテイメント系になるのかもしれないが、読んだ感じではどうもそうではなさそうだ。離婚経験のある30代女性のちょっと非日常的な恋愛の話、なので。
なにがひどいって、この女性の「美化」である。いつもはさえない「私」だけど、実はこう見えて有名人にもてたり翻訳なんてちょっとオシャレなアルバイトもしているそんな「変」な自分に、ひとり暮らしの部屋で「くすり」と笑ってしまったりして、でもやっぱり友人に優しくされても、そもそも人が人に親切する「意味」がわからない「困った」私は、ひさしぶりに化粧をして有名人の事務所で働き始めて「愛人」になっちゃったりして、もう「普通」の女の子じゃなくて、それまで人に意見したことなんてないのにこの小説が始まってからズバズバ他人にモノを云っちゃったりして、でも私はさえない女の子--
みたいな。多少誇張があるけど、まぁぜんたいこんな感じである。この小説(文庫本)が27刷くらいいっているのがさらに驚きで、いったい世の女性は何を考えているのだろうかと深刻に心配してしまうほどだ。こんな小説にもしかるべきオチがあるのだろうと期待して、一応最後まで読むつもりである。
中村光夫『二葉亭四迷伝』も鋭意読書中だけれども、こちらもあまり面白くない。全然頭にはいってこない。名著だと愉しみにしていたのだが…。