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2011年7月11日月曜日

「群集」のなかにいる老人

7月某日

ポー「群集の人」「おまえが犯人だ」「ホップフロッグ」を読む。

「おまえが犯人だ」は途中で誰が犯人だかうすうすわかってしまう。最後に明かされる真相は一読ではよく理解できなかった。が、容疑者をつくりあげていく手法は見事だし、それを覆すトリックを用意しているのも推理小説の見本というべきだろうか。

「ホップフロッグ」はさんざん馬鹿にされた道化師が王とその側近たちを騙すお話。コンパクトにまとめられ、話の展開もスムーズで面白かった。

もっとも印象的だったのは「群集の人」。トーマス・マンの「沈黙」を想起させる、不思議な作品。群集のなかにみつけたある老人を2日にわたって追い続けたが、老人はその間なにをするわけでもなく、ただただ歩き続ける。最後に疲れ果てて辿り着いた答えが、老人は「群集の人」なのだということ。群集のなかにいないと生きていけない老人だったのだ。なんとも不思議な話だ。

残るは、もうひとつの名作「黄金虫」。

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