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2013年11月9日土曜日

近代への眼差し 印象派と世紀末美術 - 三菱一号館美術館  ・・・東京物語1

11月某日

友人の結婚式出席を兼ねて、東京へ美術の旅に。

1日目に2つ、2日目に1つ(+結婚式)、3日目に2つ、とかなり押し詰めたスケジュールだったが、それはそれは素晴らしい3日間となった。あらかじめ入念にスケジュールを組んで、ルートも最短を選んだのでスムーズに回ることができた。

近代への眼差し 印象派と世紀末美術 三菱一号館美術館

  チラシをもらい忘れたのでニューズレターを

公式サイト : 三菱一号館美術館名品選2013 -近代への眼差し 印象派と世紀末美術
会期     : 2013.10.5.-2014.1.5.
場所     : 三菱一号館美術館

羽田から浜松町、そのまま東京駅へ。

改装あいなった東京駅舎を軽く一瞥。設計の辰野金吾(東大建築学科で日本人初の教授)は大の相撲好きで知られ、この駅舎は横綱の土俵入りを模したものであるという話を聞いたことがある。正面に回らないとわからないのだが、面倒なのでパス。


さて、荷物をそのまま抱えて徒歩で三菱一号館美術館へ。


ここは2回目に訪れる。あらてめて思うが、この建物自体が美術品のようなもので、いつまでもずっとそのままでいてほしい。


事前に調べたところではルノワール以外に見所なし。実際、それ以外にとくに見所はなかった。

  ルノワール / 長い髪をした若い娘 1884

顔の肌の艶がとても美しい(これだけは他の画家には真似ができない)。顔以外の髪や服装、背景の流れるような筆致とは対照的である。顔もよく見れば、大人っぽい瞳と全体の童顔がアンバランスであり、実際のモデルとなった少女からはたぶん大きく離れた肖像となっているのではないか。

ルノワールの他の作品の瞳と違わないのだろうけど、少女の瞳は怜悧で尊大な性格もうかがえ、少し幸福そうでない印象が感じられる。怪しく寂しげな少女である。

それ以外に見てよかったのは、ジュール・シェレの「ダンス」(1893年)という作品。画像はネット上で見つけられず、どんな絵だったかはっきり覚えていない。そのときのメモをそのまま書けば、天使と悪魔、女と男、清純と強欲を対比させたリトグラフで、美しいレイアウトとタッチがとてもよかった(気がする)。

あと一人、フェリックス・ヴァロットンという人の一連の作品。

ヴァロットンのアカデミー・フランセーズの会員をカリカチュア風に描いた絵が笑っちゃうほど本人によく似ていて、もちろん描かれた本人を知っているわけではないのだが、知らないのに、あぁこういう人だよねとつい頷いてしまう、そんな絵である。展示作品は見つけられなかったが、下の絵のような感じ。

 Vallotton / Caricature Portrait of Jules Barbey d’Aurevilly 1893 ※展示なし

この美術展には、デュマ・フィスアルフォンス・ドーデーなどが展示されていた。新聞に載っていそうな風刺絵はとても技術力の高いもので、彼らの小説などに添えてもらいたいくらいである。ちょっと欲しかった。




  2012年開催のシャルダン展カタログ

昨年訪れたシャルダン展で購入しなかったカタログ。それから後悔したので、ついでに買っておいた。


ちょっと追記。

三菱一号館美術館の館内で絵を観て回っているときに妙齢の女性が突然バタン!という音をたてて私の近くで床に倒れた。直接見たわけではないが、その音からは頭を打ったように思った。

女性は幸いにも意識があって外傷も見られなかったが、美術館の館員が集まり女性と連れのお孫さんと話をしている。本人は「大丈夫です、このままじっとしていれば起き上がれますから」と館員に云っており、館員もあまり動かすよりは…と、用意した車椅子を使わずにいた(女性もこういうことは慣れているのか、車椅子はいりませんと云っているようだった)。

たしかにこの場合、身体を動かすのは危険である。しかし、女性を床に寝かせたまま様子を見るのはよくないのではないかと思った。万が一、頭の中で出血していたら…。そこで、館員の方に、お孫さんには聞こえないように、「頭を打っているようですから、救急車を呼んだほうがいいと思います」と伝えた。おそらく救急車は来なかったはずだ。

幸いにして女性は間もなく自分で起き上がり、椅子で休憩できるようになった。そしてなにより幸運だったのは、三菱一号館美術館の床が従来の板張りにかえて最近じゅうたんになっていたことだ。床の板に頭を打ち付ければ、悪い方向へいっていたかもしれない。

女性が立ち上がり、絵を観はじめても、ちょっと安心できない気持ちで私はいた。ほんとうに救急車を呼ばなくてよかったのだろうか。無事、自宅まで帰れたとしてもそれから容態が急変することがあるかもしれない。その女性はいまも元気でおられるのだろうか、ずっと気になっている。


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