12月某日
仕事帰りに愛用のブックファーストによって、あまり変わり映えのしない棚並びの中、奥に圧迫感を感じさせる本が二冊置いてあった。
高橋紘『人間 昭和天皇』上下巻(講談社)。
上下で1000ページという分厚さ。文庫本なら10冊はおさまるだろうというくらいのスペースにドカンと置かれていた。
最近、昭和天皇本が数多く出版されており、玉石混交といった感があるが、高橋紘の名はよく知っているし、何よりあとがき(立ち読み)が身につまされた。著者による力強くないあとがきによれば、ガンを患いながらの執筆だったという。そして、本文の推敲を終えたあと亡くなられた。編集部によれば、本書の完成をみる前に絶命されたようだ。
本書が遺著となったわけで、上下で6000円もしてしまうが最後の労力に敬意を表し、購入。おそらく誰も買わないだろうから、私が買わねば返品されてしまうところを救出。
共同通信社の記者をしていた経緯もあって直に昭和天皇の会見(非公式を含めた)に立ち会ったことのある高橋氏が本書で紹介する、会見での昭和天皇・香淳皇后の発言が、伝記という形をとりながらも随所にもりこまれているのが特徴である。屈託なく大笑いしながら語る昭和天皇が強く印象に残る。
(つづき)
24.1.1.「イギリス国王が刺青だなんて」
24.1.22.「高橋紘『人間 昭和天皇』上下巻1000ページをなんとか読んでみた」
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