3月某日
藤田令伊『フェルメール 静けさの謎を解く』(集英社新書)を読む。
集英社
発売日:2011-12-16
以前書いたように、フェルメールと同時代の画家、テル・ボルフやデ・ホーホをとりあげているのが特色だが、それだけではなく(メインの)フェルメールの絵の分析の仕方もとても面白い。
フェルメールの絵がなぜ独特の「静けさ」をもっているのか。
フェルメールは初期作品を描き上げた当時から作品を経るごとに使用する色の数を徐々に減らしていき、並べる調度品の数も極力少なくすることで、絵は寂しさを感じさせるほどの静けさを帯びるようになった。
加えて、「青」という当時では珍しい色をふんだんに使ったフェルメールは、驚くほどの落ち着いた佇まいを絵に与えることができた。青は、観る人の感情を鎮める効果がある。それは現代の科学的実証によっても証明されているという。フェルメール自身が感性として知っていたのだろうそれが、現代人にも好かれる彼の絵の魅力となっているのだ。
まだ3分の1しか読んでいないが、これはばつぐんに面白い本だ。読めば読むほど、フェルメールの凄さがわかってくる(「手紙を読む青衣の女」にこれほど緻密な計算がされているとは。実物をみたときには全然きづかなかった)。いま紹介した話は一例にすぎない。
3月某日
大澤真幸『近代日本思想の肖像』(講談社学術文庫)を拾い読み。
著者の考えは少し自分とは合わないなとこれまで思っていたが(いくつか読んだことがある)、この批評文はとてもいい。
先日亡くなった吉本隆明から、柄谷行人、漱石などが取り上げられていて、とりあえず、漱石の『それから』とポリフォニーのところなんかを読んでみた。この本は最後まで読みたい。
ちなみに、昔購入した大澤氏の『恋愛の不可能性』は積読されたまま10年以上過ぎている。
3月某日
坪内祐三『父系図』(廣済堂出版)を購入。まだ1ページも読んでいない。が、連載されていたWEBサイトではときどき読んでいた。辰野金吾・隆父子の話がもっとも興味をそそられる。
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