2011年10月25日火曜日

JOC臨界事故、治療しえない病を治療するということ

10月某日

NHK「東海村臨界事故」取材班『朽ちていった命 -被曝治療83日間の記録-』(新潮文庫)を読む。

致死量の放射線を浴び、死は絶対に免れない患者にたいして、どのような治療ができるのだろうか。その治療に「意味」はあるのだろうか。それを問いかける本である(もちろん、核物質を扱うことの危険性も主題ではあるが)

現場の医師も看護婦も、誰ひとり「完治」を期待できないなかで、最大限の治療により僅かな「回復」を発見していくその姿に心を動かされない人はいないだろう。皮膚が再生しない肉体から体液が流れるのを可能な限り防ぐために毎日何時間もかけてガーゼを交換するという行為。

死亡後の解剖で発見された、放射線による破壊を免れた唯一の臓器=心臓の謎。生命の不思議なのだろうか、それとも生化学の枠内にあるものなのか、興味深いところである。

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