7月某日
ポー「黄金虫」を読む。
一気に読んだ。めちゃくちゃ面白かった。
最後あたりの細かい種明かしはそれとして、なんといっても、種明かしの場面に至るまでの話の持っていきかたがすばらしい。ぐいぐい引き込んでいく筆力にはただただ脱帽した。
冒頭から素直に読めば、「黄金虫」自体になにかの秘密が隠されているのだと思ってしまうはずだ。だから、「黄金虫」が手元に戻ってくる「翌朝」になれば、なぞが解明されるのだと読者は知らずに期待し、興奮し、冷淡になる。
けれど、「黄金虫」そのものには何も真実は隠されていなかったのだ・・・!
隠されていた別のものにも、容易く秘密が描かれているわけではない。そこにある暗号を解読しなければならない。
何段階にも積み重ねられたステージをひとつずつ登っていく(あるいは降りていく)過程を読者はぞんぶんに堪能できるだろう。それこそ、推理小説の理想といえるのかもしれないし、ポーが意図したものなのだろう。
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