2009年8月21日金曜日

編集者の役割、という大げさなものではないけど


8月某日

前々からなにかと話題になっていた渡辺明竜王の『永世竜王への軌跡』を購入。指し手解説はすべてすっとばして、対局こぼれ話を次々と読んでいく。

メインを読まずにいちゃもんをつけるのは筋が違っているが、ともかく出来がよろしくない。周囲や関係者の評判は高いらしいけれど、なんといっても文章が下手なのである。もちろん作家ではないのだからそれは大目にみて読むことはできるが、この本にはわざわざ「構成」者として特別に別の人の名前があげられているのだから、とても不満なのである。プロの作家ではないからこそ、チェックが行き届かなければならないはずだ。

うまい文章、読みやすい文章というのは、読み手が次に知りたいと瞬間的に思ったことを、書き手がまさしくその直後に書いているものである(本当にそうなのである。結論をはやくばらせというわけではない)。あるいは、理解にあたって本来書くべき文章の要素を一切欠落させない文章というのが優れた文章である(晦渋とかそういう問題ではない)。つまりこの2点において、本書は幼稚であると云わねばならない。それは原則的に、編集者の、この場合は「構成」者の責任にある。渡辺竜王のサービスの良さが面白いし棋譜解説も結構充実しているように思われるだけに、そこがあまりに残念でならない。

とここまで書いておきながら、確認のためあらためてページをめくってみるとそれほど読みづらくはなかった。最初字面を追ったときにの印象が強すぎたのかもしれない。そのとき、こう思ったのは事実ではある。

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