2011年8月24日水曜日

団鬼六をもてあそぶ小池重明

8月某日

団鬼六『真剣師 小池重明』(幻冬舎アウトロー文庫)を読む。

この間亡くなった団鬼六のひとつの傑作。鬼六の本を読むのはこれがはじめてでとても楽しみにしていた。

アマ将棋界の異端児である小池の人生は想像以上に破綻していた。生真面目に働く(働ける)時期とすべてが乱れる時期との落差が大きすぎる。その間には、比較できないような将棋の才能があった。おそらくプロでも通用したであろう才能が。

将棋のない小池は、ただのバカであったとしかいいようがない。恩人から金を盗んでも軽い後ろめたさで通過しつづけて20年を無駄にし、最後の数年はあまりに人がよすぎる団鬼六にすがるだけのつまらない男だった。

その小池を鬼六先生はありのまま描いている。さすがというべきだろう、言葉の並べ方は流れるようでとても読みやすい。もう少し、文学的な匂いを期待していたが、それは余計だったかもしれない。

といいつつ、鬼六先生はエッセイのほうがずっといいと思うね。

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