6月某日
今日は二週間ぶりに図書館へ。
館内では『本の雑誌』のバックナンバーを読む。坪内祐三関係ばかり(ほかには『小説現代』のツボ連載も。)
坪内祐三と目黒孝二と現発行人らによる座談会が面白かった。創刊初期のころの小話が紹介されていて、創刊5号まではちょっとお堅い雑誌だったけど、編集部内の対立をへて椎名誠が提案するコラム中心の雑誌に軌道修正し、現在に至る、という流れがあったらしい。『本の雑誌』、この数年は買うどころか立ち読みさえしなくなり、単行本化される坪内祐三の「読書日記」は刊行直後に読了している程度。軌道修正直後の6号から10号あたりまでの『本の雑誌』がいちばん面白いようだ。たぶん、読む機会はないだろうね。
ほかにも創刊直後に谷沢永一が定期購読の申し込みをしていた、谷沢所蔵の貴重な創刊号からのバックナンバーが1995年に古本屋に流れた、という話が意外だった。谷沢永一はこんな雑誌にも目をつけていたのか。手塚治がマンガを特集したときに編集部に電話をかけてきた、という逸話もあった。どんな用事でかけたのだろう、気になる。
館内で読むには物足りなかったので『本の雑誌』のバックナンバーを2冊借りた。2010年の6月号と9月号。2週間の間にじっくり読んでみよう、ひさしぶりに。(この雑誌については椎名『本の雑誌血風録』と目黒『本の雑誌風雲録』があるけど、椎名本のほうは持っていてしかも読んだことがあるような気もするけど、ぜんぜん覚えていない。持っているかも記憶にない。)
同時に借りたのは有吉玉青『恋するフェルメール』と山口昌男『天皇制の文化人類学』と笠原和夫『2/26』と『世界の名著 近代の藝術論 コリングウッド他』。なんともバラバラなラインナップ。
6月某日
坪内祐三『書中日記』を読了。『三茶日記』『本日記』とつづく『本の雑誌』連載の単行本。
これだけの情報がつまっている本を数日で一気に読了しても、ほとんど頭に残らない。やはり連載時にリアルタイムで読むべきだと思った。でも『本の雑誌』を定期購読する気にはなれず、やはり立ち読みで済ますしかない。
法政大学で教授をしていた外間守善の本を引用するくだり。外間教授が学習院大学に講義をもっていたころ、日文科限定のその講義に心理学科のある女学生がどうしても授業を受けたいとやってきた。ほとんど涙ながらに訴えるので教授は特別に受講の許可をだし、その女学生は熱心に毎回の授業を受けたという。その学生の名前は川嶋紀子といった。紀子妃をしてそこまでさせた外間守善という学者が気になる。
そんな興味をそそられる筆者や本がわんさかでてくるが、5年分になる連載を一週間で読んでも味が十分に出ない。やはり立ち読みしかない。
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