2011年6月18日土曜日

興行師・神彰

6月某日

引き続き有吉玉晴『恋するフェルメール』を拾い読み・・・のつもりが、面白かったので100ページくらい読む。

フェルメールの作品がオランダで一挙に公開されるのにあわせて企画されたツアーに参加した話をエッセイ風に綴っているところ。無類のフェルメール好きが集まっているのだから、フェルメールにしか目がいかないツアー参加者たちの様子がなんとも面白い。

ときどき、唐突な感じで有吉玉晴の昔話がとびだしてくる。それがまた惹きこまれる内容で、しかもリアルな言葉を選んでいるから、読後感がよい。

そんなエピソードのなかで自分の父を語るくだりがあって、母=有吉佐和子とはずっと昔に離婚しているのだが、25年ぶりぐらいに交流をもつようになり・・・とあって、父はボリショイサーカスを日本に紹介し・・・という言葉に「あっ」と反応する。この人物は知っているかもしれない。名前は忘れていたけど、興行師として有名な人がいたことは覚えていた。父の名は神彰(じんあきら)という。そうか、有吉玉晴は有吉佐和子と神彰の子供なのか。

父・神彰との交流については、実はフェルメールのお話よりも貴重かもしれない。図書館で借りた本だけど、本屋で見つけたら購入しておこう。

6月某日

福田和也『昭和天皇 第一部』を読む。

雑誌連載中に読んでいたあたりだけど、単行本で読み返すことにした。まだ100ページくらいだが、一文一文を堪能するように読む。

この伝記の特徴は、明治から大正、昭和を彩る傑人物たちのエピソードが随時紹介されることだろう。とくに明治を創った第一世代の多士済々は現代日本からすれば羨ましすぎるラインナップだ。彼らにつづく第二世代、第三世代は、様々な紆余曲折をへて――ときに父の世代の栄光に気後れし、ときに父に匹敵する仕事をなして――昭和までの繁栄を築き上げた。「昭和までの」と云わざるを得ないのが辛いことではあるが。

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