7月8日
『森茉莉全集 7』を適当に読んでいたら、いくつか「おっ」というような記述、というか名前がでてきた。
森茉莉の最初の夫、山田珠樹と出会った頃の話を読んでいると(結構同じ内容の話が何回もでてくる)、山田とパリに滞在していた頃のこと、山田が何人かの友人とよく議論をかわしていたのをそばで見ていたとある。その友人のひとりが、辰野隆(まもる、と読むのを初めて知った)。
坪内祐三『文学を探せ』を読んだときに面白かった本の話のひとつが、辰野隆を描いた本を紹介するくだりだった。意外なところで繋がった。
Link : 辰野親子(6月17日)
もうひとつ。森茉莉が演劇の話を書いていて、松井須磨子という女優の話をしていた。須磨子……どこかで聞いたなと思えば、直前に読んでいた坪内祐三『極私的東京名所案内』にまさしく須磨子の自殺話が書かれていたのだった。
森茉莉によれば、芸術座によるトルストイ原作の『復活』が大変好評を博し、劇中歌「カチューシャの唄」を歌った松井須磨子が大人気となった。須磨子は芸術座の岩野泡鳴の恋人として劇団で横暴をふるっていたが、岩野の死後、劇員たちから疎まれ、その辛さに芸術座の二階で自殺をしたという。
まったく同じ話が坪内祐三の本にも出ていて、ただし、芸術座という名は須磨子自殺当時は芸術倶楽部と変わっていた。この本では、この芸術倶楽部の隣にある酒屋(飯塚酒場)が文学史的に名所であるということで、紹介されているのである。
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